音楽療法士
音楽を使って心と身体の治療効果をあげます。
音楽を「聴く」療法と「演奏する」療法があり、障害や精神疾患、痴呆などにもよい効果があります。
音楽の効果を治療に最大限いかす
音楽療法が本格的に始められるようになったのは、第二次大戦後のアメリカで、戦争神経症にかかった帰還兵の治療法としてでした。
日本では、1960年代ごろから精神病患者や心身障害児の治療に導入されています。
音楽療法は大別して「音楽鑑賞」と「演奏や合唱での自己表現」に分かれます。
前者では、CDや音楽テープを聴かせたり音楽療法士みずからが即興演奏をすることもあります。
後者では患者が楽器を演奏したり歌うことなどによって、心身の状態を改善していきます。
治療の構造としては、1対1の個人療法と、グループでのセッションといった方法があります。
音楽療法士に求められるのは、心理学に通じているとともに、優れた音楽家でもあること。楽器演奏から声楽まで技術が必要です。
さらに個々の患者さんに対して、どの音楽療法を実践すればよいのかについて、適切な判断力も必要です。
欧米では広く普及 欧米では音楽療法は広く普及しており、めざましい効果をあげています。
たとえば、神経症など心療内科の分野、または自閉症児や障害者などの診療において。
医療に限らず福祉の分野でも、無表情だった痴呆の高齢者に表情がよみがえるとか、
障害児施設では、脳性小児まひの子どもがピアノに触れているうちに表情がいきいきしてきた、
あるいは事故で重傷を負った患者がリハビリの際に楽器を演奏することで奇跡的に可復したなど、さまざまな臨床例があります。
また、学校など教育の分野でも音楽療法士が活躍しています。
日本では、日常的な実践例はまだ多くはありません。
作業療法の一環として取り入れる例があります。
具体的には老人保健施設や障害者の施設、特殊学級、リハビリテーションセンターなどです。
医療保険が適用されないので、医療の分野での普及が進まないのが実状です。
音楽療法士になるルートの一つに、全日本音楽療法連盟より資格の認定を受ける方法があります。
ただ、認定は医療、教育、福祉の現場で3年以上、臨床経験のあることが前提なので、すぐに資格が得られるわけではありません。
全日本音楽療法連盟とは別に、いくつかの音楽大学では養成コースを設けており、じっくり学びたい場合は検討したいコースです。
これらの大学では、福祉・医療職のために、単発の講習・講座を開くこともあります。
また、奈良市社会福祉協議会、岐阜県などで独自に養成事業を展開しているのをはじめ、各地で講座が開かれています。
欧米などでは、医師、看護士、心理療法士など専門職と音楽療法士がチームを組んで、患者さんにきめ細かい対応をしています。
日本でも、音楽療法に対する認識が広がってきて、老人ホームなどでは特に資格をもっていなくても音楽療法を試みているので、今後は活躍が期待されます。
資格を取るには
審査の対象者は「日本バイオミュージック学会」または「臨床音楽療法協会」の正会員であること。
次にあげる審査基準に達している場合、申請書類を上記のいずれかの団体に提出します。
・学校で音楽療法または音楽療法とみなされるカリキュラムを15時間以上履修。
・学会、講習会などで15時間以上履修。
・医療・教育・福祉の現場での臨床経験3年以上、責任者の経験1年以上。
・研究会などで音楽療法に関する研究発表や事例報告をしていること。あるいはスーパービジョンを継続的に受けていること。
・論文を2編以上発表、または著書を刊行していること。
・教育機関で音楽療法に関する講義を10時間以上行っていること。
・教育分析、研修グループ体験や精神療法、芸術療法、作業療法、カウンセリング、言語療法などの臨床経験1年以上。
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