介護職員:寮母(寮夫)
介護保険法の施行と同時に2000年以降、高齢者が利用する福祉施設では、従来の「寮母」から「介護職員」と職名が改められました。
だからといって、「寮母」が突然通じなくなるわけではありません。
介護職員は、施設で暮らす高齢者や身体障害者、知的障害者が、安心して過ごせるように生活のあらゆる面を手助けしていきます。
介護のプロフェッショナルであり、施設の大黒柱的な存在です。
あらゆる日常生活手助け
仕事をざっとあげれば、入所者の起床に始まる洗面、トイレ、着替え、食事、歩行、入浴など日常の介助のほか、居室の清掃、身体状況の記録と実に多様です。
朝起きてから寝るまでの基本的な日常生活の介助はもちろん、ときに入所者の心のケアを考えた個人的な接し方も必要になってきます。
とかく集団生活では、ストレスや不安が生じやすいものです。
話し相手になって、悩みを聞いたり、生活の張りを保てるようクラブ活動やレクリエーションなども支援します。
入所者が社会との接点をもち続けられるように配慮するのも、介護職員の役割です。
積極的に施設の外へ出ていけるように手を貸し、通院をはじめ貫い物や散歩、旅行に付き添ったりすることもあります。
また、入所者に関する情報は常に気を配り、家族や生活相談員、医師とも緊密に連携をとり合わなくてはいけません。
たんに世話をやくだけではなく、健康や家庭事情をふまえたうえで、一人ひとりに合った生活支援を考えていきます。
高齢者介護の現場では需要が拡大
9割は老人福祉施設勤務 特別養護老人ホームなどの老人福祉施設が急速に増えてきたのに比例し、介護職員数も、これまで以上に必要になってきました。
ですから、介護職員の職場でいちばん多いのは、圧倒的に老人福祉施設となっています。
1997年現在、全国の介護職員は約12万1,000人。そのうち9割弱もが、老人福祉施設で働いているのです。
残りの1割ほどの人たちは、身体障害者更生援護施設や救護施設、またはそのほかの施設で働いています。
入所型と在宅型の施設 老人福祉施設といってもさまざまな形態の施設があり、
高齢者の心身や家庭の状況によって、施設の内容もずいぶん違ってきます。
大別すれば、入所利用型、在宅利用型に分けられます。
もっともよく知られる、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム(一般、)、軽費老人ホーム(A型、B型、ケアハウス)、老人短期入所施設などは、入所利用型の施設です。
原則65歳以上の利用者が暮らし、日常生活を送るうえで必要なサービスの提供を受けています。
在宅利用型は、老人デイサービスセンター、老人福祉センターなどです。
家庭に介護者がいる高齢者の利用が多く、過1、2回程度、送迎リフトバスなどで通ってきてサービスを受けます。
施設では、入浴や食事サービス、日常生活動作訓練などが行われています。
交流やクラブ活動の場にも活用されています。
1985年から96年までのわずか10年ほどで、5倍以上に増えた社会福祉施設があります。
寝たきりや痴呆など、家庭内だけでは支えきれない高齢者が利用する入所型の特別養護老人ホームです。
その数約3,500か所。全国の老人福祉施設、1万5,000か所のうち4割を占めています。
現代の地域社会に不可欠な施設だといえます。
しかし、入所希望者数に対するベッドの数はまだ不十分です。
介護職員ももっと確保したいところなのですが、各施設とも経営上の理由でなかなか採用数を増やせないというのが現状です。
いざ、介護職員になりたいと思ったならば、まず問われるのは適性です。
初めに施設を訪問したりして、自分がこの仕事に向いているか冷静に分析してみるのがいいでしょう。
介護福祉士資格は技術のめやす
介護職員をはじめホームヘルパーなど介護における職種は多様化し、それぞれの職場では即戦力が求められるようになってきました。
そこで、ある一定の技術のめやすが必要になり、介護福祉士や介護アテンドサービス士の資格が近年急速に整備されています。
資格の整備は、もともと女性が中心だった職場への、男性進出にも役立っています。
介護の仕事をするうえで、注目されるのは「介護福祉士」の資格です。
最近では、この資格があれば、優先的に採用する傾向も出始めています。
特別養護老人ホームの運営形態はさまざまです。
東京都の例をとってみれば、1998年10月現在の施設数は257。
そのうち、完全な都営はわずか2か所しかありません。
公務員にこだわって公営施設への就職を希望する人は、各自治体が実施する採用試験を受けることが必要になります。
しかし、施設数からしても相当に狭き門になります。
ほかの施設はほとんどが、自治体が設立し民間に委託して運営しているか、または設立運営ともに民間が行う社会福祉法人です。
今後とも増設が見込まれるのは、この2つの形態の施設です。
給与は、常勤職ではこれまでほぼ地方公務員なみを維持してきましたが、介護保険制度の始まりにともなう施設運営の事情から、各施設ごとにまったく独自の体系に変わってきています。
介護保険制度の始まりにより、各施設とも介護職員の採用を増やす方向ですが、常勤者数は極力抑えて対応していきたいようです。
これからは、いままで以上に非常勤採用が増えそうです。
もしあなたが、特別養護老人ホームで働きたいと思ったならば、まず勤務体制を頭に入れておかなければいけません。
体の不自由な高齢者たちが暮らす特別養護老人ホームなどの施設では、24時間体制で利用者の生活をサポートする体制が整えられています。
ですから、一般の会社と違い勤務は早番から夜勤まであります。
現在いちばん多いのが、4交代制を採用している施設です。
24時間を平常(8:30〜17:00)、早番(7:00〜15:30)、遅番(10:00〜18:30)、夜勤(17:00〜翌9:00)の4つの勤務時間帯に分けています。
週1回ぐらい夜勤が回ってきます。
特別に激しい作業があるわけではないのですが、ローテーションに体が慣れないうちは、少しつらいかもしれません。
いつでも安定した力を発揮するためには、人なみ以上の体力と気力が必要です。
まずは、あなた自身が健康なことです。
また、お年寄りとのコミュニケーションが絶対に欠かせない職場です。
毎日いろいろなハプニングがあり、刺激の多い仕事ですが、反面うまく意思が伝わらなかったり、相手に振り回されたりしてストレスをためてしまうこともあるでしょう。
我慢のしどころです。
なにごとも前向きに考える、ポジティブな考え方が大切です。
一人で悩まず、まわりの先輩たちに積極的に相談できる明るさも、ここでは重要な能力の一つ。
介護の仕事に対するはっきりした目的意識をもって、むしろお年寄りから学ぶぐらいの謙虚な気持ちで、仕事に向き合うほうがいいでしょう。
競争率の高い常勤募集では、だいたいが「あれば望ましい」としていますが、
そのうち3割ほどは「必須」となっています。
今後ますます福祉関連の職場では定着していきそうで、近い将来は介護職員になるための必須資格となることも考えられます。
とりあえず福祉施設で働き、資格を取得するのも一つの方法。
施設に採用されれば、介護経験を積みながら勉強する研修の機会が、必ず設けられています。やる気さえあれば、実力アップは可能です。
介護福祉士の資格を取るには
専門の養成学校へ
2年以上の養成学校(大学、短大、専門学校)を卒業すれば、卒業と同時に取得できます。
福祉系の大学で社会福祉に関する指定科目を修めて、卒業後、養成学校で1年以上学んでも同様です。
また、保育士養成学校の卒業者なら、介護福祉士養成学校で1年以上学べば取得できます。いずれも国家試験を受ける必要はありません。
3年以上の勤務で国家試験
学校に行かなくても国家試験を受ければ取得は可能です。
老人福祉施設などで、介護職員として3年以上働いた人ならば、受験できます。
職場の基礎知識
介護職員が活躍できる老人福祉施設や身体障害者更生援護施設には、さまざまな職種の人たちが配置されています。
特別養護老人ホームの場合は、施設長、医師、生活相談員、介護職員または看護士(准看護士)、栄養士、機能訓練指導員、調理員、事務員その他の職員を置くよう定められています。
このうち、介護職員と看護職員について、
「介護職員と看護職員の総数は、常勤換算で、入所者の数が3またはその端数を増すごとに1以上とすること」
(特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基郵という基準が設けられており、つまり、入所者3人に対して最低1人の介護職員はたは看護職員)
が配置されるという決まりです。
しかし、これはあくまでも最低のライン。
入所する高齢者の心身状態により、もっと多く勤務している施設もあります。
ベテランの介助職員に聞いてみると、実情では、介助職員は不足ぎみ。設置基準の最低数では、なかなか十分なケアはむずかしいそうです。
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