看護士:保健士
そもそも看護士といえば診療所や病院、保健士といえば同じく病院や保健所など特定の機関や医療現場で働くイメージが、すっかり定着していました。
1994(平成6)年に保健婦国家試験への男性の受験が認められ、看護士に続き保健士が誕生することになりました。
この法改正は、高齢化が進む福祉現場の要請にもこたえたものでした。
老人福祉施設の急増にともない、ただでさえ不足していた健康・衛生管理のプロの確保が急務になってきたからです。
社会福祉施設でのおもな仕事は、入所者や利用者の健康管理です。
看護士は、施設を利用する人たちの慢性、重度化した健康状態の変化を把握し、早期対応していかなくてはなりません。
たんに身体的な健康だけでなく、特に話し相手になったり、精神的な側面までフォローできる余裕も大切です。
利用者の健康管理という目的は同じですが、保健士の仕事は少し違います。家族の介護相談、サービス内容の調整、連絡などに比重がかかってきます。
いずれにせよ病院と大きく異なるのは、福祉施設は利用者が生活する場そのものということです。
利用者が安心でき、活気ある暮らしが送れるよう、ときには介護全般にもかかわっていきます。
介護職員や医師、理学療法士らとの情報交換も欠かせません。
施設におけるチームケアの要なのです。
老人福祉施設に勤務する看護婦・士の、ある1日の業務を紹介しましょう。
出勤するとまず夜勤者からの報告。
そして部屋を訪ね健康チェック、利用者からの相談、医師回診介助、通院の付き添い、薬の配布、最後に夜勤者への引き継ぎをして夕食介助。
このほかにも細かい業務がたくさんあります。
保健士の場合だと、その職場にもよりますが、訪問してのサービスがおもな仕事になってきます。
訪問の間に学習会や研修に参加。
そのほかのあき時間を利用して、相談者への支援プランを練ったりします。
社会福祉分野では不可欠の職業に老人福祉施設に2万人 看護婦・士の職場でいちばん多いのは、やはり病院と療養所です。
保健婦は保健所や市町村の保健センターになります。
それとともに最近は社会福祉分野への就職が目立ってきています。
まず看護士ですが、老人福祉施設にもっとも多く、常勤、非常勤合わせて2万人を超えます。
身体障害者更生援護施設と知的障害者援護施設ではともに1,800人前後ですから、いかに高齢者介護の現場で看護士の力が求められているのかが、うかがえます。
具体的には、特別養護老人ホームに、1万人を超える人が勤務しています。
特別養護老人ホームに入所するお年寄りは、虚弱や痴呆などで、常時介護を必要とする人たちです。
健康管理には、特に医師や看護婦・士の専門技術が必要になるのです。
施設の設置基準では、職員のなかでもっとも多い介護職員、二ばんめの調理員に次いで、大勢の配備が必要とされています。
訪問介護も急増
訪問看護サービスを提供するシステムが各地で整備されてきました。
このサービスのなかでは、相談の実務経験がある保健士の力が求められます。
看護士も訪問サービスに必要な人員ですが、看護士、保健士それぞれのもつ技術により役割は違っています。
たとえば、高齢者の介護相談に応じる在宅介護支援センターの業務は、原則2人ひと組で行うように定められています。
組み合わせの一つは、相談・調整を受け持つソーシャルワーカーと介護の具体的指導をする看護士。
もう一方が、保健士と介護福祉士です。
つまり保健士はサービスの相談・調整役、つまりコーディネーター役として、看護士は介護の実務指導役として配置されているのです。
介護保険制度導入にともない、ケアマネジャーとして活躍する看護士、保健士も出てきます。
さらに、在宅サービスセンターや、2000年をめどに全国5,000か所に整備目標のある訪問看護ステーションなど、
在宅介護支援を行うどの機関でも、看護士、保健士は欠くことのできない職種になります。
訪問看護ステーション
看護士、保健士の活躍の場として注目されるのが在宅療養へのサービスです。
訪問看護ステーションは、訪問看護サービスを提供する総合的なシステムとして1992年に創設されています。
サービスに従事するのは、看護士、准看護士、保健士など医療的ケアの担当スタッフ。
さらに、理学療法士・作業療法士といったリハビリ担当者です。
サービスの受付や調整も直接同ステーションが行います。ただし、利用するにはかかりつけの医師の診断が必要です。
医師が訪問看護の必要性ありと認めた人の家を訪ね、病状観察や洗髪、床ずれの処置、リハビリや食事、排泄の世話などをします。家族への介護アドバイスも大切です。
看護士の病院勤務は、ひところは3K職場などといわれ、きつい仕事の代表でしたが、次第に職場環境の見直しも進められてきています。
全体の比率をみてみると95万人ほどいる看護士のうち、約75%もが病院勤務です。
社会福祉施設は6%強、だいたい5万7,000人です。
さて、医療、福祉のどちらの方面に進むにせよ、看護士になるには、まず資格を取らなくてはいけません。
看護婦国家試験の合格率は毎年度98%前後という高水準です。
試験で問われるのは、仕事をするうえで最低必要な基礎学力。
養成学校で普通に学んでいれば、まず大丈夫でしょう。
試験は年に1回、毎年3月です。
保健士をめざす人は、看護士資格取得後さらに保健士養成学校へ進み、受験資格を得なければなりません。
保健士は全国に約3万1,000人います。
おもな職場である保健所(全国1,600か所)では、乳児検診や成人検診、健康相談など地域の健康や公衆衛生の管理を担当しています。
保健所は公的機関ですから、採用されるには、各自治体の公務員採用試験に合格する必要があります。
しかし、採用数はさほど多くありません。
福祉施設では日勤型
さて、特別養護老人ホームを例に、福祉施設での看護婦・士の職場環境をみてみましょう。
病院といちばん違うのは勤務体制です。
24時間体制の特別養護老人ホームであっても、緊急の事態を除けばだいたい日勤のところが多いようです。
在宅介護支援センターなどでも同様です。
厚生省の定める施設の設置基準では、定員規模50人の施設に最低2人の看護士が必要になります。
ちなみに介護職員は10人、医師は1人、生活相談員は1人です。
80人の施設では3人となっています。
給与水準ですが、各施設とも地方公務員なみをめざしてはいますが、厳しいようです。
参考までに、3年制短大卒で国立病院に勤務した場合の初任給は規定により19万円。
これよりいくらか低くなると思ったほうがいいでしょう。
施設利用者の年齢や、利用者がどのような障害をもっているかによって、求められる技術も変わってきます。
どこでも医療機関での経験が豊富で、即戦力になる人材を求める傾向が強いようです。
また、在宅者の相談に応じる在宅介護支援センターは、特別養護老人ホームに併設されていることが多いため、単独での募集はあまりありません。
こちらも相談業務ができるベテラン看護士、保健士が選ばれることがほとんどで、新卒の募集はごくわずかです。
就職・求人情報は、自治体広報やナースセンターで
福祉施設の求人情報がどう流れるのか、自治体が設立した社会福祉事業団運営の特別養護老人ホームにきいてみました。
まず求人は、自治体の広報に掲載するそうです。
ほかに公設のナースセンターなどにも人材の問い合わせをします。
民間が道営する福祉施設の場合でも、公設のナースセンターを通じて探すのが普通だということでした。
ナースセンターは登録制ですから、要請を受けると登録中の看護士のなかから適任者を推薦することになります。
医療機関で経験を積む
介護の現場全般にいえることですが、常に経験を積んだベテランの即戦力が求められるという事情があります。
おもな職場になっている特別養護老人ホームなどでは、慢性疾患をもつお年寄りが相手です。
コミュニーケションのとり方ひとつとっても、熟練の技術がいるのです。
また、医師が非常勤の施設も多く、その分責任も重く、頼られる存在です。
まず比較的就職しやすい医療機関で経験を積むのが、いちばん確実な方法だと思われます。
目標をもって、自分の技術を磨くところから始めましょう。
看護士として働く場合には、資格があることは絶対条件です。非常勤だとしても、この条件はまず変わりません。
在宅介護サービスの分野で、相談やコーディネートの仕事を希望するならいっそ保健婦・士をめざすのもいいでしょう。
資格を取るには
専門学校や短大で学ぶ
高校を卒業後、専門学校や短大などで3年以上学び、看護婦・士になるための必要科目を履修して、国家試験を受けます。
または大学の看護課程で4年以上学び、必要科目を履修しても、同様に国家試験が受けられます。
准看護婦士から看護士へ
中学卒業後、准看護学校か高校の衛生看護科に進み、都道府県が実施する試験を受けて准看護士になります。
さらに2年間(定時制は3年間)、看護学校で学べば、国家試験が受けられます。
看護婦士から保健婦士へ
保健婦国家試験は看護士賛格取得後、指定の学校で6か月以上、必要科目を学べば受験できます。
一部大学では卒業と同時に、看護士と保健士の国家試験受験資格を取得できます。
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