保健師の仕事活動
保健師は日々の仕事のなかでいろいろな人から、健康に関するさまざまな相談を受け、さらにそれぞれの専門分野の人と連絡を取り合います。
お年寄りにかかわる分野
ケアマネジャー、ホームヘルパー、作業療法士・理学療法士、医師、看護師、ケースワーカーなど
母子保健にかかわる分野
助産師、医師、児童相談員、保育士など
精神障害者の支援の分野
精神科医、看護師、ケースワーカー、ホームヘルパー、臨床心理士など しかし、専門分野の人がいくらがんばっても限界があります。
とりあえずの対応でそのときは問題が解決したとしても、原因が本人だけの問題でなく、家族や地域、社会的な問題であれば、また同じ問題が起こるでしょう。
そこで保健師がその間題の原因を究明し、改善方法を考え、さまざまな活動を通じて、地域の人びとによびかけるのですが、それだけでは、社会を変えることはできません。
保健師の活動には健康教育・講座や個別相談などがありますが、地域の人全員が参加するわけではなく、
参加した人も一回や二回の講座ですぐに意識や行動が変わるわけではありません。
各家庭の訪問指導にも限界があります。
そこで、さまざまな活動を通して地域の健康づくりの気運を高めていくことが重要となってくるのです。
地域の健康づくりの核となるグループ活動
保健師から発信する情報を地域全体に広めるためにはネットワークが必要です。
地域のなかには、すでに保健福祉関連のさまざまな組織活動があります。
たとえば、保健指導推進委員会、母子保健推進委員会、食生活改善推進委員会、民生委員などです。
これらの委員会活動は、行政があらかじめ決めた目的にそって住民に委員をお願いし、活動が行われます。
これに対して、住民による自主的なグループは、同じ悩みをかかえた住民同士の情報交換の場、という色合いが強く、
住民同士の支え合いをつくるという意味で有効であるといえます。
グループというのは、健康に関する課題別のグループです。
成人病を予防したい人のグループ、育児に自信がない母親のグループ、自宅でお年寄りの介護をしている家族のグループなどさまざまです。
自主グループは住民が自主的にはじめることもあります。
また、保健師が日々、行っている講座のなかで参加者によびかけることもあります。
同じ地区に住んでいて、同じ課題を持った人が集まっているためになかま意識を持ちやすいからです。
自主グループのよいところは、住民同士で情報交換ができるということです。
たとえば、介護のサービスはどこの業者がよかったとか、どこの医者が親切かなど、地域の事情に即した実用的な情報が得られるのです。
そして何よりも、おたがいにはげましあい、支え合うことにより、個々のメンバーがなかまの力を借りながら、自分の課題を解決していくことできるのです。
もちろん保健師も参加しますが、あくまで自主グループですから、専門家としてのアドバイスや会をスムーズに運ぶための調整など、サポート役に徹します。
また、このようなグループ活動が、自治体の事業として予算化されるように、住民といっしょに保健師が自治体に働きかけます。
予算化されれば、参加者が入れ代わっても活動そのものはつづくからです。
このように住民のグループと、行政の橋渡しをするのも保健師の役目なのです。
個人の問題から地域の問題へ
ひと昔前の日本では、近所の人たちとのつながりや助け合いというものがありました。
しかし、現在は都市化と核家族化が進んで、身近に頼れる人が少なくなっています。
近所に住んでいても、おたがいに関心を持ちにくくなり、相手のことを理解しにくくなります。
そうなると障害や育児などで悩む人に対して、無関心になったり、批判的になったり、偏見の目で見るということもあります。
このことがさらなる問題を生み出しているともいえるのです。
そこで、今の時代にあった、地域で支え合えるような地域での活動が必要となってきています。
その活動のひとつとして、健康という、誰もが関心を持てるテーマでグループをつくるというわけです。
このグループ活動はこれからの時代にあった、地域の支え合いを生む活動の新たなかたちといえるでしょう。
グループ活動に参加し、同じ悩みを持った人と話をすることで、自分の悩みの原因がどこにあるのか分かってきます。
それが自分たちの住む地域社会全体の問題だと思えば、それを変えていこうという動きも生まれてきます。
さらに、グループ活動の一環として、ボランティア活動に参加することも、自分自身以外の間題に目をむけるきっかけになります。
そうなるとグループ内で学んだ支え合いの大切さを地域全体に広げていこうということになっていきます。
ひとつのグループの人数が少なくても、その参加者が家族や友人に情報を広めますし、グループで問題を解決した人は、今度はまわりの人の力になろうとします。
このようなグループが地域にたくさんあることで、情報が伝わる範囲も広がり、少しずつ地域が変わっていくのです。
では、支え合いとは、どういうことでしょうか?
たとえばベビーカーを押して、子どもを病院に連れていく母親にひとこと、励ましの声をかけるということでもいいのです。
それが、子育てに悩む母親を力づけることになるのです。このようなことから、地域の支え合いが生まれるのです。
おたがいに、生きようとする力を伸ばし合えるような地域づくりを、保健師は目指しているのです。
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