保健師が支援する対象
介護に疲れた家族の支援
老人や障害者などの介護で問題になるのは、介護を受ける本人に関してだけではありません。
家族で介護を行う場合、24時間生活をともにして介護を行う家族の方が過労で倒れてしまうということもあります。
このような家族に対する支援は保健師の役目です。
たとえば、介護方法が分からないと悩んでいる家族には、介護技術を教えます。
ひとりで介護を抱え込んでいる介護者にはホームヘルプサービスやデイサービスなどの介護サービスを紹介します。
また、介護者に、健康管理の方法を指導したり、健診を受けることをすすめたり、ときにはリフレッシュのために、ショートステイの利用を促すこともあります。
ひとり暮らしのお年寄りの支援
ひとり暮らしで、身体の弱っているお年寄りがいるという連絡があるとします。
そういう場合はまず訪問して、入院が必要なのか、在宅で大丈夫なのかなど、どのような対応が必要なのかを判断します。
介護保険サービスを受けるためには、要介護認定の申請をして、ケアマネジャーにプランを立ててもらい、さまざまな介護サービスを導入します。
また、保健所内に作業療法士や理学療法士がいますので、リハビリが必要な場合は、訪問を依頼する場合もあります。
そのお年寄りに近親者がいれば、保健師が中心となり話し合いの場を設けます。
そこで、各自にできることを出してもらい、今後の介護の方針を決めるのです。
保健師は、ホームヘルパーや作業療法士のように直接のケアを提供するというより、
介護を受ける人たちが、安心して介護を受けたり、その家族も元気に介護ができる環境をととのえたりするという役割を担っているのです。
介護保険と保健師
介護保険の保険料は区市町村で管理されます。
全国の市町村には介護保険課という専門の部署がおかれていますが、そこに保健師が配属されることが増えています。
そこでの保健師の仕事はケアマネジャーが立てたプランの審査や、実際にケアを行う業者のサービス内容のチェック、介護保険にかかわる問い合わせや苦情への対応などさまざまです。
また、ケアマネジャーの指導を行うこともありますし、要介護申請の内容を審査する介護認定審査会に参加することもあります。
以上のように保健師は目立たないながらも、高齢社会をさまざまな側面から支えているのです。
育児に不安を持つおかあさんたちのバックアップ
妊娠・出産・子育ては、女性にとって大きなできごとですが、はじめての場合はとくに不安なものです。
昔は、家におじいさん、おばあさんがいっしょに住んでいて、何かと知恵を授けてくれたり、手助けをしてくれたものですが、現在はそういう家庭も少なくなくなっています。
そのため、不安があっても相談できる人が身近におらず、ひとりで悩む母親が多くいます。
とくに育児にかかわる不安は子どもの虐待につながる可能性もあるといわれており、実際、ここ数年、虐待の件数は増えています。
このような母親たちの不安を少しでもやわらげるため、保健所や市区町村の保健師がいろいろな活動を行っています。
たとえば、育児相談、母親学級、子育てセミナー、乳幼児健診などです。
母親学級では、保健師が赤ちゃんのだっこの仕方や遊ばせ方、うんちの見方など具体的な育児の方法を教保健師えたり、
近くに住む人どうしでグループに分かれて、話し合いの場を設けたりします。
母親学級の終了後も、保健師のよびかけで自主的な育児グループがつくられることがあります。
同じ町内の、出産の時期が近い母親どうLで交流を深めることは、支え合いを生むという意味で重要です。
自主的にグループをつくろうという気持ちをおかあさんたちに持ってもらえるように、保健師は、会の進行方法や下準備などに心をくだきます。
このような地域のつながりをつくることこそ、保健師の本来の目的なのです。
精神障害者の自立の支援
地域で暮らす精神障害者の支援も保健師の大切な役割です。
精神障害といっても、病状によっていろいろですが、支援の目的は障害を持った人の自立であり、それを前提とした支援を行います。
支援の内容は、病状が悪くなった人に受診を促すことや、入院していた人が退院して社会復帰するためのサポートなどです。
とくに長く入院していた人に対しては、薬の飲み方やお金の管理の仕方、食事のつくり方など、基本的な日常生活がスムーズに行えるように、自宅を訪問して支援します。
また、保健所のデイサービスにさそって、同じ病気を持った人たちと、ゲームやスポーツ、料理などをしながら社会性をやしなうよう、促します。
さらに、地域の作業所を紹介したり、本人の能力や意欲、病状に応じて、就職活動の支援を行うなど、社会復帰をすすめます。
近所の住民から、苦情や相談を受けたときは、患者を理解してもらうために説明をしたり、協力をよびかけたりもします。
また、地域によっては、精神障害者の支援のためのホームヘルプサービスが行われるようになりました。
このサービスは高齢者に対して行ってきた在宅介護のサービスとはちがい、
ただお世話をするだけではなく、利用者に対して、掃除の仕方を教えるなど、自立のための支援も業務に含まれます。
そのため、保健師はホームヘルパーの相談に乗ったり、ヘルパーむけのセミナーを実施したり、ヘルパーと同行して、精神障害の方との接し方の指導を行ったりもします。
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